突然ですがみなさん、『手袋を着用する』ことを、なんといいますか?

手袋をする、手袋をつける、手袋をはめる・・・
地域によっても様々なのではないでしょうか。

実はここ香川では、手袋を“履く(はく)”といいます。
靴でもズボンでもないですが、手袋は、“履く(はく)”が主流です。
幼い頃から当然のように使ってきた言葉なので、違和感を持ったことはありませんでした。

大人になって、いろいろな地域出身の方と出会う機会が多くなると、今まで使ってきた言葉が全国ではスタンダードじゃないんだ、これって方言だったんだ、と気づくことってありますよね。
これも大人になって気づいたひとつのケースではあるのですが、とにかく、香川では手袋は“履く(はく)”ものなのです。
しかし、この表現が主流の地域が実はもう一つ。

それは、なんと・・・北海道です!

香川県と北海道。遠いです。
共通点がほとんどないように思われる、この離れた2つの地域に、こんなピンポイントの共通点があったことに驚きです。

表現が一致している前に、そもそもなぜ、手袋を“履く(はく)”なのでしょうか。

その理由の一説には、日本の手袋文化の始まりが関係しているといわれます。

香川が手袋の産地になった歴史背景については『なぜ香川が手袋の産地?』(過去の記事はこちらから)でお伝えしましたが、1888年、香川の手袋産業の祖である両児舜礼(ふたごしゅんれい)が大阪で手袋製造を始めた当時、手袋は『手靴(てぐつ)』と呼ばれていたのです。

もうお気づきでしょうか?
靴となれば履きものなので、履くと表現したこともうなずけます。

その後、東かがわに手袋製造のノウハウが持ち込まれ、産業として発展してきました。町の家々から手袋を縫うミシンの音が聞こえてくる、そんな時代もあり、当時浸透した表現がそのまま残って方言のようになっているのです。
古くから手袋製造が始まり、盛んだった産地ならではのエピソードです。

一方、北海道は手袋がないと冬を越せない寒さが厳しい地域。
よって、早くから手袋を着用する文化が根付き、普及していたのだと思われます。
だから、北海道でも昔の表現がそのまま今も使われているということなのでしょう。
(もしかしたら、東北などの冬の寒さが厳しい地域でも同じように見られる言葉かもしれません。)

日本各地の方言は昔の生活や文化を垣間見ることができるものも多く、言葉の奥深さがおもしろいなと思います。

  • 東かがわ市にある手袋資料館では、手袋産業の歴史や様々な道具などを見ることができます。