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ものづくりを支える裁断のプロ

2019.07.18

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  • 作り手の紹介

日本一の手袋の産地である東かがわには、世界の工場で活躍する、産業用機械を手掛けるものづくり企業があります。
株式会社トーコーです。
同社は、裁断と成形のプロフェッショナル。 特に裁断においては国内でも歴史が長く、世界トップシェアを誇る企業です。
金属以外なら何でも裁断・成形できるという技術力から生み出される裁断機、成形機が、日本のみならず、今や世界のものづくりをも支えています。

実は同社は、香川の手袋産業の発展を語る上では欠かせない存在。
およそどんな商品でも、形が作られていく過程において、切る=裁断するという工程がありますが、手袋も同様です。

そう、手袋づくりを裁断の側面から支え、発展に寄与してきたのです。
(※写真はクロダで使われているトーコー製裁断機。)

では、そんな手袋の裁断工程、裁断機が導入される前はどのように裁断していたのでしょうか?

ヨーロッパではハサミを使うテーブルカットが主流だったそうですが、日本では刃物文化の変遷が異なったようで、裁断用の“包丁”を使いました。
手袋の型となる木型に挟んだ生地を、断つように切っていたということです。 (※東かがわにある手袋資料館では、過去裁断に使っていた道具などを見ることができます。)
それまで包丁による手動の裁断だったところに、機械式の裁断機が導入されたことで、一度に多くの生地が裁断できるようになったり、ワンタッチ操作で型どおりにポンっと抜けるようになったりと、格段に効率が上がったことは想像に難くありません。

同社の裁断機の販売が開始されたのは1965年。活況期に入っていた手袋産業のさらなる成長・発展を支えながら、同社も裁断の技術を磨いていったといいます。

裁断機発売初期のものは、裁断時に発生するその音から、バッタンとかガッチャンとか呼ばれていたり、次に開発された小型式は、ポンスと呼ばれたりクリッカーと呼ばれたりもしています。 (※写真は中田久吉商店で使われているトーコー製裁断機。)
手袋づくりに使われている裁断機と言っても、手袋専用というわけではなく、今では他にもバッグやワッペン、シール、レジ袋、フェイスマスクなどに使われています。

トーコーの中で、この裁断機の製造・メンテナンスを担当されているのは、國野さんです。
國野さんは、バッタンとクリッカーの隅から隅まで、すべてを知り尽くすスペシャリストです。クリッカーという名前を、もはやクニッカーにしてしまおうかと社長に言わしめるほど。

裁断機が新しく工場へ導入される際には、どんなものをどんなふうに裁断するのかを把握し、また実際に裁断テストをしてみて、商品の特性によってプログラムのカスタマイズも行います。

また、私自身、普段いろいろな手袋工場に伺う機会がありますが、いくつか年式の異なる裁断機が活躍しているところを目にします。
なんと販売開始時の昭和40年製でもまだまだ現役で活躍しているので驚きです。
あちこちいい具合に古びているけれど、どっしりしっかりとした味のある佇まいからは、産業の歴史の中で、支え、一緒に歩んできたこと、大切に使われてきたことが感じられます。 (※写真は白鳥繊維工業で使われているトーコー製裁断機。)

それらのように、すでに導入されている機械のメンテナンスもとても重要な仕事です。

基本的な日々のお手入れに関しては、それぞれ導入した先で行えるようになっているそうですが、調子がよくない、何かおかしいなど、工場から問い合わせが入ると、現場へ赴きチェックをします。
まずこのときにどんな音がしているかに集中して耳を澄ませます。
音を聞くと大抵、どこに不具合があるのかを見抜くことができ、大幅な修繕が必要な場合は、トーコー工場まで引き上げられます。
お話を伺った当日もメンテナンス用の裁断機が一台、國野さんのもとへと里帰り中でした。

そこからバラバラに分解して、不具合のある箇所の部品を新しく入れ替えるのだそうです。
なんと入れ替えるための新しい部品も自社で加工して作られています。

同社が提案する製品は、ひとつひとつオーダーメイドがほとんどで、設計から加工、組み立て、納入、アフターフォロー・メンテナンスまでを一貫して行えることが大きな強み。設計の段階から、お客様とタッグを組むように、手を取り合って進めていくのです。

今や、同社が開発する機械によって裁断・成形して作られた製品は、私たちの日常生活の至る所に点在しています。

たとえば、
・市販のお弁当やお惣菜などの入った凹凸のある食品トレー
・スマートフォンや液晶テレビなどの高機能フィルム
・自動車の内装部品
・インテリアに使われるタイルやカーペット
などをはじめ、多岐にわたります。

私たちが日常で手に取るものは、さまざまな部品、パーツが組み合わさりできています。

それらの部品が素材から形を成す、その過程を支える機械を作る企業がここにあり、さらにその機械を作るための材料を作る企業がその奥にあり、ものづくりというのはスタート地点を想像してみることさえ難しいほどの奥行きがあります。

私たちは、数え切れない人たちの努力や軌跡の上で成り立ったものを今日も手に取り、使ったり、食べたりしているんですね。

トーコーが開発する機械の特長は、“質実剛健”だと教えていただきました。
つまり、丈夫で長持ち。ものづくりを支える設備と考えた場合、これほど心強い特長はないだろうと思います。

トーコーのコーポレートマークであるワニのシンボルは、裁断の刃をイメージして1987年に採用されたものですが、隠れた裏のテーマは“食らいついて離さない”というアグレッシブな姿勢。
ですが、お客さんと開発段階より手を取り合って、強固で精巧な機械をつくり、何年も一緒に歩める頑丈さでものづくりを支え、さらにきめ細やかで丁寧なフォローをする、そんな剛と柔が共存する姿には、”お客さんの心をがっちり掴んで離さない”という表現がしっくりくるような感覚も覚えました。

株式会社トーコー
〒769-2693 香川県東かがわ市横内689-1

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